


STORY
フィルムメイカーの井上春生がジョナス・メカスに会ったのは2018年の2月。別れ際に「君は次に何を撮るのだ」と聞かれる。その11ヶ月後にメカスは逝去。その幻影をマンハッタンとブルックリンに追いかけた。時はコロナウイルスがNYCに襲いかかる直前の2020年1月末、間一髪の渡航だった。実験映画界の巨人と言われたメカスの一周忌に、井上は盟友であり日本の現代詩の世界を切り拓いた詩人・吉増剛造にレクイエムの詩を託す。その詩が劇的に誕生する様子が井上の手によって丹念に描かれていく。映画の企画/プロデュース/監督/配給を全て担当する。国際映画祭で50冠を成し遂げた。

Sebastian Mekas
ジョナス・メカスの長男。映画の中で吉増剛造と感動的な再会をする。ジョナスのかつての作品に少年時代の様子がしばしば垣間見える。映画プロデューサー、アーティストであり、俳優。父ジョナスの映像や声の遺産を守っている。フラグメンツ オブ パラダイスが最近のプロデューサー作。

佐野元春
80年代から言葉と音楽の関係を突き詰めてきた日本ロック界のカリスマ。井上春生の前作「幻を見るひと」を見た経緯から、NHKの「SWITCH」に出演(井上/企画・演出)、「気品のある詩人、歌い手が、ここにいるんだなという直感が働いた」と語る吉増剛造と世代の違う2人が詩で共鳴し話題を呼んだ。本作の主題曲を提供するに至る。映画のプロモーション音楽ビデオも。過去、ニューヨークでジョナス・メカスと時間を共にして自ら話を聞き、自身の雑誌Thisに伝説となる貴重で詳細な記事を執筆している。
PHOTO©️DAISYMUSIC

吉増剛造
日本現代詩の最前線を切り拓いてきた日本を代表する詩人(1939-)。2023年は「西脇順三郎賞」初回受賞、「井上靖記念文化賞」など84歳にして吉増イヤーの趣きになっている。監督の井上春生とは前作「幻を見るひと」でタッグを組み国際映画祭10冠に輝く。本作で50冠39の賞を受賞。日本芸術院会員、文化功労者。
INFO
劇場
- 東京 東京都写真美術館ホール 2023.1.6〜12
- 京都 出町座 2023.1.6〜12
- 兵庫 神戸元町映画館 2023.1.14〜20
- 東京 下北沢 シモキタ - エキマエ - シネマ『K2』 2023.1.20〜2.9
- 京都 UPLINK京都 2023.3.17〜23
- 佐賀 唐津 Theater Enya 2023.3.17〜23
- 東京 池袋 新文芸坐 2023.4.8
- 北海道 札幌 シアターキノ 2023.5.26
- 東京 目黒シネマ 2023.5.28〜30
- 沖縄 桜坂劇場 2023.6.17〜23
- 群馬 前橋シネマハウス 2023.6.10〜23
- 東京 ストレンジャー 2023.7.7〜13
- 山梨 甲府 桜座 2023.7.15
- 愛知 名古屋 シネマスコーレ 2023.8.19〜9.1
- 大阪 シネ・ヌーヴォ 2023.9.16〜22
- 東京 青梅 シネマネコ 2023.9.22〜28
- 神奈川 ジャック&ベティ 2024.1.20〜1.26
- 東京 神保町シネマ 2024.2.22
トークゲスト
- 城戸朱理(詩人)東京都写真美術館ホール
- 松尾潔(音楽P/作家)東京都写真美術館ホール/ストレンジャー
- 今福龍太(文化人類学者)東京都写真美術館ホール
- 津田直(写真家)東京都写真美術館ホール/出町座/神戸元町映画館/シネ・ヌーヴォ
- いとうせいこう『K2』/ストレンジャー/新文芸坐
- 岡本零(ライター・編集者)『K2』
- 管啓次郎(詩人・比較文学者)『K2』
- 若林良(映画批評)『K2』
- 菊井崇史(詩人)『K2』
- 大田和司(元維新派舞台監督)UPLINK京都/シネ・ヌーヴォ
- 岡本小百合(翻訳家)UPLINK京都
- 吉成秀夫(古書店店主)シアターキノ
- 萩原朔美(前橋文学館館長)前橋シネマハウス
- 岡村忠征(ストレンジャー)ストレンジャー
- 帷子耀.(詩人)桜座
- 井上正行(詩人) シネマネコ
- 菊池康弘(シネマネコ)シネマネコ
- 井上春生 全映画館(沖縄を除く)
- 吉増剛造
併映
新文芸坐
『眩暈 VERTIGO 』 主題曲PV(5分)by 佐野元春
『富士山への道すがら、わたしの見たものは…』 ジョナス・メカス
桜座
『富士山への道すがら、わたしの見たものは…』 ジョナス・メカス
ストレンジャー
『楽園のこちら側』
『ザ・テーブル』
『幸せな人生からの拾遺集』
目黒シネマ
『リトアニアへの旅の追憶』
『ウォールデン』
スタッフロール
吉増剛造
Yoshimasu Gozo
Sebastian Mekas
語り Narration
七木奏音
Nanaki Kanon
Marc Carpentier
東京ニューヨークユニット Tokyo New York Unit
撮影監督 Director of Photography
鈴木雅也 Suzuki Masaya
録音 Sound
森英司 Mori Eiji
コーディネーター NYC Coordinator
中村英雄 Nakamura Hideo
カメラアシスタント Camera Assistant
濱口一瑛 Hamaguchi Kazuaki
京都ユニット Kyoto Unit
撮影 Cinematographer and Aerial Specialist
安田浩一 Yasuda Koichi
録音 Sound
中村太郎 Nakamura Tarou
翻訳 Translation
岡本小百合 Okamoto Sayuri
「眩暈」吉増剛造 英訳
“Vertigo”Yoshimasu Gozo, English Translation
遠藤朋之 Endo Tomoyuki
「ストレツタ」パウル・ツェラン 英訳
“Stretto”Paul Celan, English Translation
Pierre Joris
パウル・ツェラン監修
Supervisor, Paul Celan segments
関口裕昭 Sekiguchi Hiroaki
英語校正 Proofreading
Sim Yee Chiang
“I had nowhere to go”
Jonas Mekas ⁄ Spector Books
『メカスの難民日記』
ジョナス・メカス 飯村昭子訳 ⁄みすず書房
「迫奏」
『パウル・ツェラン詩文集』より
飯吉光夫編・訳 ⁄白水社
「紐育、午前四時三十分」
『花火の家の入口で』より
吉増剛造 ⁄ 青土社
特別協力 Special Thanks
Eric Celan
Bertrand Badiou, ENS Paris
飯村昭子 Iimura Akiko
羽生善治 Habu Yoshiharu
藤沢周 Fujisawa Shu
城戸朱理 Kido Shuri
古川日出男 Furukawa Hideo
芝山幹郎 Shibayama Mikio
木下哲夫 Kinoshita Tetsuo
大久保賢一 Okubo Kenichi
金子遊 Kaneko Yu
井戸沼紀美 Idonuma Kimi
岡英里奈 Oka Erina
大高健志 Otaka Takeshi
岡本英之 Okamoto Hideyuki
Motion Gallery
協力 Cooperation
Spector Books
白水社 Hakusuisha
みすず書房 Misuzushobo
晶文社 Shobunsha
書肆山田 Shosi Yamada
青土社 Seidosha
公益財団法人 川喜多記念映画文化財団
Kawakita Memorial Film Institute
良寛記念館 Ryokan Memorial Museum
有限会社ワタヌキ ⁄ ときの忘れもの
Watanuki Ltd. ⁄ Toki no Wasuremono
HEAPS Magazine
秋田梨紗 Akita Risa
Annette Erbe
森國次郎 Morikuni Jiro
小林俊道 Kobayashi Toshimichi
安保登美子 Anbo Tomiko
林浩平 Hayashi Kohei
岡本零 Okamoto Lei
井上陽一 Inoue Kevin Yoichi
小野田桂子 Onoda Keiko
坂本広明 Sakamoto Hiroaki
忠地裕子 Tadachi Yuko
中村光博 Nakamura Mitsuhiro
樋口辰男 Higuchi Tatsuo
森直樹 Mori Naoki
安川正吾 Yasukawa Shogo
渡辺大介 Watanabe Daisuke
「メカスの難民日記」日本語訳朗読
“I Had Nowhere To Go”by Jonas Mekas
Japanese Version
岩城文夏 Iwaki Fumika
黒川武彦 Kurokawa Takehiko
櫻井清美 Sakurai Kiyomi
柴田望 Shibata Nozomu
管啓次郎 Suga Keijiro
鈴木伸嘉 Suzuki Nobuyoshi
塚本雅康 Tsukamoto Masayasu
西原多朱 NishiharaTazz
松崎智 Matsuzaki Akira
安村基 Yasumura Motoi
「メカスの難民日記」朗読
“I Had Nowhere To Go”Jonas Mekas
English Version
Fernanda Parrado
Davis Parker
Thomas Fraser
Mirva Kemppainen
Sihara Vanegas
Michael Ferrigno
「紐育、午前四時三十分」吉増剛造 朗読
“New York, 4:30a.m.” Yoshimasu Gozo
Japanese Version
秋房和伸 Akifusa Kazunobu
裏地圭 Uraji Kei
岡英里奈 Oka Erina
落合春美 Ochiai Harumi
菊井崇史 Kikui Takashi
齋藤千尋 Saito Chihiro
佐藤薫 Sato Kaoru
柴田望 Shibata Nozomu
田崎貴由子 Tazaki Kiyoko
中村修斗 Nakamura Shuto
林浩平 Hayashi Kohei
深川友美 Fukagawa Tomomi
舞木宏美 Mogi Hiromi
山本亮 Yamamoto Ryo
映像協力 Image Cooperation
メカス日本日記の会 Mekas Diary Society of Japan
小口詩子 Koguchi Utako
写真協力 Photo Cooperation
agnès b.
Eric Celan
Paul Celan in seinem Arbeitszimmer in der Rue de Longchamp,
Paris, ca. 1958 ©Eric Celan (Paris) und Suhrkamp Verlag (Berlin)
中野義樹 Nakano Yoshiki
小津亜紀子 Ozu Akiko
岩本圭司 Iwamoto Keiji
資料提供 Materials Provided by
Studio Hamburg
S. Fischer Verlage
株式会社共同通信イメージズ Kyodo News Images Inc.
毎日フォトバンク Mainichi Photo Bank
協賛 Support
フォレスト出版 Forest Publishing Co. Ltd.
帷子耀.
主題曲 Theme Music「新世界の夜」
作曲・編曲:佐野元春
演奏:Motoharu Sano & The Coyote Band
DaisyMusic
"Perfect World"
Composer/Arranger: Motoharu Sano
Performed by: Motoharu Sano & The Coyote Band
DaisyMusic
劇中音楽 Music
"Vivaldi - The Four Seasons -
Winter (1st Movement) "
by Wilfred Symphony Orchestra
"A Quiet Departure" by Josh Leake
技術協力 Technical Cooperation
Imagica Entertainment Media Services, Inc.NiTRo Shibuya
カラーグレーディング Color Grading
倉森武 Kuramori Takeshi
Imagica Entertainment Media Services Inc.
サウンドデザイン Sound Design
井上春生 Inoue Haruo
協力エディター Co-Editor
宇田川健 Udagawa Takeshi
NiTRo SHIBUYA
ミキサー Sound Mixer
菅野友和 Kanno Tomokazu
NiTRo SHIBUYA
渡辺美枝 Watanabe Mie
NiTRo SHIBUYA
DCPMastering
田巻源太 Tamaki GentaInterceptor inc.
ポスターデザイン Poster Design
ヘンミモリ henmimori
制作デスク Production Assistant
白崎裕美子 Shirasaki Yumiko
HUGMACHINE CO. LTD.
プロデューサー Producer
山本礼二 Yamamoto Reiji
Dragonfly Entertainment Inc.
製作・配給 Production/Distribution
HUGMACHINE CO. LTD.
エグゼクティブプロデューサー・監督・編集
Executive Producer/Director/Editor
井上春生 Inoue Haruo映倫G-123614
サポーター
朝吹亮二 原成吉 大久保賢一 森國次郎 林浩平 谷晋二 井原靖章 井上護夫 遠藤朋之 西森基文 大鷹明良 荻野良二 齊藤茂一 岡英里奈 バンバサナエ 菊井崇史 宮坂新 中村光博 舞木宏美 赤塚敏史 山本亮 樋口辰男 七木奏音 文夏 松崎智 加古英敏 鈴木伸嘉 高垣知加士 柴田望 吉成秀夫 山本園弥 戸島正浩 森直樹 櫻井ザンギ 小林美香 ろちこ 真柄由佳 渋谷英毅 衣川正和 木村直人 櫻井清美 白井真梨子 桜井美保子 裏地圭 川名忠 田窪与思子 東山知枝 東山祐紀 松崎明日香 山本渡 沙一 中島早紀 越智環 浮殿キカゲ 小田桃子 渡邊隆 内田康雄 前田香奈 川崎恵理 大谷泉 中村真名美 荒川宏之 野村淳 佐々木蒼馬 金井孝次 こじまひろみ 忠地裕子 松本典子 青山大志 深川友美 田中秀雄 星幸恵 坂本広明 野崎美波 中嶋幸治 岡本零 管啓次郎 宮森敬子 深沢みず奈 黒川武彦 安江真理子 水戸野孝宣 小石川尚 江口勝之 尾崎ミオ 川上智永子 ハマダヨシミチ おおたみはる 吉田藍子 菅原英理子 安川正吾 塚本雅康 中村修斗 山崎春美 日原憲之 秋房和伸 千田ひろく 一方井亜稀 柳原加代子 飯野純平 すずめとコーヒー ときの忘れもの 詩誌「フラジャイル」 日本仕事百貨/リトルトーキョー 小山田サユリ Ahmadhi Latif Keiko Onoda Yoichi Kevin Inoue tazz Kaoru Sato Yumiko N. Yachiyo Aso Motoi Yasumura K.T. Nabedaisky toto Takahide Yoshida Yuichi Ishikuro Michie Futagawa Masaki Kuroki Mizuna Fukasawa Kiyoko T. Eriko Yamamoto Key. Tazaki Jacaranda Satomi Ohtake
メインスタッフ
映画
『流浪の月』監督:李相日 第46回 日本アカデミー賞(2023)
『空白』監督:吉田恵輔
『スパイの妻』監督:黒沢清
『長いお別れ』監督:中野量太
『幻を見るひと』監督:井上春生
『四月は君の嘘』監督:新城毅彦
『トウキョウソナタ』監督:黒沢清
映画
『マイ・ナイト』 製作:松竹/監督:中川 龍太郎
『ラ・マヒ』製作:ロボット/監督:成瀬 都香
『東京オリンピック公式記録映画』製作:東宝/監督:河瀨 直美
『私がモテてどうすんだ』製作:松竹/監督:平沼 紀久
『Last Letter』製作:東宝/監督:岩井 俊二
『Too young to die』製作:東宝/監督:宮藤 官九郎
『チャンオクの手紙』監督:岩井 俊二
CM
『JTB 隠岐の島編』
『ウリアゲガンバ』
『森永 アイスボックス』
『ネスカフェアンバサダー 』
MV
『花は咲く2021』監督:岩井 俊二
『弾心〜ダンシン〜』Girls Girls /監督:平沼 紀久
『知らない世界も見飽きた』ikire/ 監督:岩井 俊二
『蝶々結び』Aimer/ 監督:岩井 俊二
映画
『DISTANCE ディスタンス』 監督:是枝裕和
『ゆめのまにまに』 監督:張元香織
『千夜、一夜』 監督:久保田直
『あゝ、荒野 前篇/後篇』 監督:岸善幸
『樹海のふたり』 監督:山口秀矢
『世界はときどき美しい』 監督:御法川修
メディア
- 2023/10/6 西多摩新聞福生ゆかりの詩人の『眩暈VERTIGO』上映(筆:澤村みどり)PDF 出典引用 西多摩新聞
- 2023/9/18 詩誌「フラジャイル」第18号 錯綜のゆたかさ 井上春生『眩暈 VERTIGO』について (筆:阿部嘉昭)AMAZON
- 2023/9/1 すきっと 40号 【シリーズ この道 】人と世界と共に歩む「フィルムメイカー」へ 井上春生 映画監督
- 2023/8/6 朝日新聞 全国版朝刊3面「日曜に想う-うそのない言葉 探し祈る日に」(筆:吉田純子編集委員)PDF 出典引用 朝日新聞
- 2023/7/6 Lula JAPAN ジョナス・メカスを悼む 映画『眩暈(めまい) Vertigo』上映を記念してジョナス・メカス日本公開作品が3本併映される
- 2023/6/19 東京新聞 詩人の鎮魂の旅に迫る、映画「眩暈」23日まで上映 前橋市のシネマハウスで製作秘話語る
- 2023/5/29 Gazeta Do Cerrado カンヌ映画祭期間中、現地で開催された独立系映画祭フェリーに記念8 1/2で"VERTIGO"が注目され4部門でグランプリを獲得した
- 2023/4/12 三田文学 【映画『眩暈 VERTIGO』舞台挨拶 再録】 「ジョナス・メカス いくつもの言語に流され、たどりついた原初の言葉」
- 2023/3/8 佐賀新聞 舞台あいさつ 唐津市のエンヤで17~19日
- 2023/2/22 読売新聞 映画「米の詩人追悼の旅」唐津で17日から上映
- 2023/2/1 出版人・広告人 「ドキュメンタリー映画の詩的可能性をめぐって」 井上春生長編インタビュー10頁 聞き手:今井照容 構成:寺岡裕治
- 2023/1/21 文藝春秋 【巻頭随筆】 眩暈 VERTIGO
- 2023/1/15 天理時報 映像で描く二人の詩聖の友情 最新作 国際映画祭42冠に輝く 映画監督 井上春生さん
- 2022/12/31 リトアニア大百科辞典 Apie Visuotinę lietuvių enciklopediją 【Jonas Mekas】 Rojaus fragmentai (Fragments of Paradise, režisierė Katie Davison), Vertigo (režisierius Haruo Inoue, abu 2022)
- 2022/12/30 リトアニア国営放送 Lietuvos nacionalinis radijas ir televizija Japonų režisierius sukūrė filmą Jonui Mekui: kartu klausia, kas yra laimė 日本人監督が挑んだメカスの映画が公開 「幸せの断片を紡ぐ」
- 2022/12/20 キネマ旬報 1月上旬下旬合併号 「眩暈 VERTIGO」芝山幹郎(評論家)×井上春生(映画監督)ほか 6頁 (筆:佐野亨)
- 2022/12/15 週刊文春 世界中にファンがいる「ゴッドファーザー」の死…亡き盟友のアトリエに1時間佇み、詩人が感じた“めまい”井上春生(映画監督)クローズアップ(筆:小倉佳子)
- 2022/12/16 日刊ゲンダイデジタル 詩はpoem、詞はlyrics (筆:松尾潔 音楽プロデューサー/作家 )
- 2022/12/13 neoneo 日本で唯一のドキュメンタリーカルチャーマガジン 【Interview】既成の枠を越えてジョナス・メカスに迫る『眩暈 VERTIGO』 井上春生監督インタビュー
- 2022/12/10 "VERITE" Iran Doc Fest Winners of the 16th "Cinema Verite" International Documentary Film Festival
- 2022/12/8 赤旗 ドキュメンタリー映画「眩暈 Vertigo」公開間近 PDF 出典引用 赤旗
- 2022/12/6 サンデー毎日「挑む者たち」「世界に通じるアートフィルムに挑戦した」映画監督・井上春生(筆:石戸諭)
- 2022/12/6 読売新聞朝刊 アメリカの「難民」詩人追悼の旅/20世紀の詩の歴史を俯瞰する 映画「眩暈 VERTIGO」 (筆:松本良一)PDF 引用 読売新聞
- 2022/12/1 佐野元春公式HP 【ポエトリー+映像+サウンド】ドキュメンタリー映画 "眩暈 VERTIGO" の主題曲を制作 YOUTUBE
- 2022/11/25 映画撮影 No.233 奇跡のようだったニューヨークの撮影 (筆:鈴木雅也 撮影監督)PDF 出典引用 映画撮影 AMAZON
- 2022/11/22 共同通信 白玉のゆくえ 「響きあう詩人の魂」 (筆:東直子 歌人/作家)PDF 出典引用 共同通信
- 2022/11/11 東京中日新聞 米映像作家ジョナス・メカスの足跡を詩人がたどる映画「眩暈 VERTIGO」激動の時代に「楽園の断片」育てる (筆:林啓太)PDF 出典引用 東京新聞
- 2022/10/10 2022 New Jersey International Film Festival - Eventive 2022 New Jersey International Film Festival Vertigo - Online for 24 Hours!
- 2022/10/3 みすず書房 ドキュメンタリー映画『眩暈 VERTIGO』12月13日(火)東京都写真美術館ホールほか全国順次公開予定
- 2022/9/28 PressWalker ドキュメンタリー映画 『眩暈 VERTIGO』プレスリリース
- 2022/9/7 Fall Arts Preview: Film “Vertigo” is a Japanese film following contemporary Japanese poet Gozo Yoshimasu’s visit to New York City and the creation of a poem that marked the anniversary of poet and experimental filmmaker Jonas Mekas’ death — which happened to coincide with the advent of COVID-19~ ※ニュージャージー国際映画祭記事
- 2022/9/1 Wild Film Maker -Where do you see the film industry going in the next 100 years? Our society is overflooded with images made by AI on social media, such as Youtube, Instagram and Tiktok. Many of those images, however, are only copies or reworkings of past creations.~ ※監督の井上春生のインタビュー
- 2021/3/27 SWITCHインタビュー 達人達 「佐野元春×吉増剛造」 初回放送日: 2021年3月27日 佐野元春氏による主題歌創作に至るきっかけになった番組 企画構成演出:井上春生 対談未収録箇所は雑誌「SWITCH」に掲載2020/4/3 読売新聞 震える精神 私との共振 「その時、私は倒れんばかりの眩暈に襲われた」 (筆:松本良一)PDF 出典引用 読売新聞
- 2020/3/31 neoneo 日本で唯一のドキュメンタリーカルチャーマガジン 【column】 米国前衛映画界の父・詩人の故ジョナス・メカスを悼む 映画『眩暈(めまい) Vertigo』について
新文芸坐舞台挨拶再録 2023.4.9
ゲスト:いとうせいこう氏
映画「眩暈VERTIGO」上映後に行われたイベント対談より
【はじまり】
花俟「こんばんわ、新文芸坐の花俟(はなまつ)と申します。ありがとうございます。いかがだったでしょうか、眩暈。吉増剛造さん、ジョナス・メカスさんの崇高な魂と魂が対峙する瞬間を捉えているとても素晴らしい映画だったと思います。今日、初めて吉増さんとか、メカスさんを知った方もいらっしゃると思います。ぜひ、興味をお持ちになり、世界をさらに広げていただければと思います。今日は素晴らしいトークショー、そして朗読をお楽しみいただくのですが、その前にちょっとだけ催し物をさせてください。ご存知の方もいらっしゃると思うんですけれども、この眩暈、そして吉増さん、海外で賞をたくさん受賞しています。そのトロフィーと楯を井上春生監督から新文芸坐宛にお送りいただいております。なぜ私たちが、というところがあるんですけれども(各国の国際映画祭に代わって)弊社マルハンの営業部長、新文芸坐支配人の高原安未からそのお預かりした楯とトロフィーを本日、吉増さんにお渡しする催しでございます。ではご紹介いたしますので、盛大な拍手をもってお迎えください。吉増剛造さんです、どうぞ。(吉増剛造氏登壇)では、高原より。 」
高原「皆様、本日はご来場いただきまして、まことにありがとうございます。このような素晴らしい映画をこちらの新文芸坐で上映することができて、非常にうれしく感じております。昨夜弊社社長からになるのですが、韓裕より吉増剛造様にメッセージを預かってきましたので、読ませていただきたく思います。 『吉増剛造さま、映画『眩暈VERTIGO』、たくさんの受賞大変おめでとうございます。新文芸坐は大幅なリニューアルを行い、1周年という節目で吉増剛造様といとうせいこう様をお迎えし、多くの皆様にお越しいただいたことに心から感謝申し上げます。また、吉増様、本年2月に第1回西脇順三郎賞、3月には第6回井上靖記念文化賞の受賞おめでとうございます。この後、吉増様といとうせいこう様による対談と朗読が行われるとのことで、今日という日がご来場の皆様、お一人お一人にとって忘れがたい素晴らしいひとときになりますことを祈念いたします。株式会社マルハン代表取締役東日本カンパニー社長韓裕』」
吉増「ありがとうございます」
高原「こちらがジャン=リュック・ゴダール記念映画祭の名誉賞の楯となります。こちらはニューヨークムービーアワードの前衛映画最優秀作品賞のトロフィーでございます(拍手) 」 そのときの様子
花俟「吉増さん、よろしければ一言をいただけますか」
吉増「みなさまようこそお越し下さいました。こんな素晴らしい大劇場で20回、21回目になりますか、今日は一番後ろの端の方で見ていたんですけれども、前の方で見たかったなと思いました(場内笑)。何か昔、子供の時にそういう体験があったんですけれどもね。それで、もう20回以上も見ていると、映画自体の中で新しく育ってきているものがありまして、それは後で天才いとうせいこうさんと一緒にお話しますけれども、この映画は80ぐらい賞を取っているらしいんですね、世界中の映画の専門家が大挙して見ているんです。一つの映画祭で20人ぐらいずつ見ているとしたら1600人になるのか、もっともっとなるのか、大変な数の人が見ているわけです。だから、深い息の長い映画になると思います。それを見守ってきてくださった方々に御礼を申し上げるとともに、監督はどこにいるのかな?井上春生監督の献身的かつ根源的な力によってこの映画をみなさまにご覧頂けることになりました。プロデューサーの山本礼二さんもお越しになられて。ありがとうございました」
花俟「吉増さん、高原さんありがとうございました。では、お待たせいたしました。天才と吉増さんもおっしゃっておられました方をお迎えします。いとうせいこうさんです。拍手で迎えください。よろしくお願いします」
【対談】
いとう「こんばんは」
吉増「では、僕から話を聞きますけれども、この間、下北沢の上映のときにお話した時は『想像ラジオ』という大震災をテーマにした傑作を選んできたんですけれど、今日はたまたま『ボタニカル・ライフ―植物生活―』という」
いとう「園芸の方ですね」
吉増「そしたら何か止められなくなって、今、マリリアさん(※吉増氏夫人)という人が同じことを家でやっているので、このはじまりのところがすごくて、これでこいつ天才だなと思うの。(読む「アロエを拾ったのである。葉っぱの先っぽを。」改行してね「それも横断歩道の近くで。」これが始まりなのね)僕、後から詩を読むけど、こういうタイミングによって言語の空気を作り出していく、才能だなと思いました」
いとう「もう最高にうれしいですよね」
吉増「少しおだてて」
いとう「あはは。おだてて下さい、ぜひ。うれしいです」
吉増「映画はいかがでしたか」
いとう「映画は僕、これが3回目になるのかな。あれ、このシーンあったかなと思うんですね、毎回。そのことがすごく面白かったのと、それからスクリーンの大きさが異なるので、違うものに見えてくるという面白さがありました。他にこの映画を見て家に帰った時に、不思議だなと思ったことがひとつあって、それは何かというと、この映画の場合、例えば日本語で何かを説明、なにか文が出て、それを日本語で読みますよね。それで僕らは日本語が基本的に分かる人たちの部類の観客だと思いますけれども、もうその日本語で全部がわかっているのに、次に読まれる英語が多少長くてもとてもそれを楽しんでしまう。逆に英語で何かが出てきて、だいたいこんなことなんだろうなって思って分かったのに、次の日本語をきちんと待ってしまう。これは何なんだろうとーいうことを考えていると、2つの言語は同じことを内容を言っているように見えて、切り口が全く違う文法によってできていて、つまり我々は別のルビを振ってあるものを読んでいるような」
吉増「すごい言い方ですね」
いとう「それは吉増さんの詩の使い方でもあると思うんですよ。ルビなんだけど、ルビが本体を説明しているのではないということが実は文学なのであって、というようなことが起きているんだなということが今日分かりました」
吉増「それはこの映画の中で僕が言っている天使の詩のパンクチュエーションというのは、それにも通じているものですね。だから昔だったら言語の多声性だとか、そのぐらいで済んじゃっていたものが、こういう映画で、今、いとうさんが正確に言われたように、声の質、あるいは音の質、あるいは映画館によって聞こえ方も違う、そうした多方向音声の積み重ねをメカスを主題にして作り上げている」
いとう「そう、そうです。しかも、なおかつ言語が2種類、例えばあるとしても、その向こうに映像とあと映画のサウンドがあるんですよね。これがまた別のルビになっているのだということに今日は気づきました」
吉増「そうですね。後、僕がこれから皆さんにぜひお話したいと思っていたことに繋げるんですけれども、映画の中で私が気を失いますよね。メカスとセバスチャンのアパートは古い板張りの床でしてね、猫が出てくるじゃないですか。あのとき制作者がみんな足音を気にして靴を脱いで撮影したんですね。だから、猫が歩いてもその気配が分かるんです。そうした人間の鋭敏な感覚が、おそらく眩暈の原因でもあるんですけれどもね。それにプラスしてニューヨークの地下鉄の音から何から、今、いとうさんの言われたような人の声の持っている深い光、帯とシワみたいなものを重ねてるんですね」
いとう「そして同時に、メカスさんのおうちに行かれて、吉増さんが話を聞いている時に、すごくたくさんの子供の声がしていて、やっぱりふと何か無意識にそっちのことも考えながらこっちのメッセージを見てしまう。やっぱりそれは映画だからなんですよ」
吉増「すごいところへ目を付けたのは、さすがいとうさんだ」
いとう「吉増さんがメカスさんの思い出を語っているんだけれども、全然年齢が若い子たちの別な声が背景に聞こえてきて、我々はなぜかそれを微笑ましく思い、そのことが照り返してきて、この二人の友情のことをまるで少年の頃からこの人たちは知っているのではないかという妄想さえ抱きかねないということですね」
吉増「ちょっとお話しますけれども、この映画が成立した一番の、プラトンの洞窟みたいな一番核心部分はその非常に楽器の皮膚みたいな床のあるあの部屋でセバスチャン(映画に登場するメカスの息子)がだいぶ長い時間沈黙するじゃないですか」
いとう「そこですね」
吉増「そう、そこなんですが、あそこでね、みんな考えちゃってね。で、あそこで何を考えるかと、それを僕は考え続けてきたんです。だから映画が終わるというよりも、あそこをめぐって考え続けることが大事でね。あそこでセバスチャン自身も困ってて。で、僕、解析しながらふと気が付いたけれど、セバスチャンは中国古代史をやっていた人なのね、だからね、思慮深さと静けさというのはメカスが育てたものという風に僕が言っていますけれどね、彼自身も、自分自身の心を中国古代史からつかまえようとしている。僕は一回、天命という言葉を思い浮かべて、孔子から取ったんだけど、今日はね、しばらく時間が経ったから少し分かってきたのは、僕が「メカスの難民日記」からキリストの木造、ルーピントイエリスのことを本を見てしゃべっています。僕はあのとき間違えてルービンという風に濁ったけれど、正しくはルーピントイエリス。あの木造のキリスト像のことが気になってて、何かね、日本でいうと、円空仏と木喰仏みたいな、あるいはこの間、盗んでいくやつがいたけど」
いとう「賓頭盧(びんずる)ですか」
吉増「賓頭盧みたいな、日本でもこけしや、あるいはおしら様(東北地方で信仰されている家の神)みたいなものを愛でる気持ちに近いところがあるのかもしれないけれど、ルーピントイエリスがあの沈黙の、沈黙の時に現れてくる、現れてくるというか、そうした考えにまで私たちは歩いていけるような、あの洞窟と沈黙の時間がそこにありますね」
いとう「なるほど」
吉増「あれはぜひみなさん考えてください。あれ、おそらくセバスチャンも他の言葉も言いたかったし、言葉にならないなと思いながらReadinessと言って、翻訳を担当した岡本小百合さんは覚悟というふうに訳されて、言葉にならないその意味を、僕はこの間、天命と言おうとしたりしたけれども、言葉にならないルーピントイエリス、無言の手の跡がついた木造のキリスト像、それも非常に長い時間をかけて手に触れられてきたキリスト像がそこに浮かんできてね。20回くらい見てそこまで来ました。それは人生を何かはるかに超えちゃってるようなところがあるんだな。そういうことがこの映画で実現し始めているのね」
いとう「まさに天使の詩のパンクチュエーションということではないですか。いわゆる、沈黙は天使が通るとか言いますけれども、その天使はまっさらで綺麗だとは限らなくて、いろんな人たちがその人をメディアにして願いを込めたり苦悩したりするようなものとしての何かたくさんの人に触られた天使のようなものが通るということはあり得るということですね」
吉増「そうですよね。いとうさんが目の前にいらっしゃるから、その向こうに僕は川端康成さんがいるかもしれないと思って、しゃべりはじめているんですけれどね」
いとう「すごいことになりましたね」
吉増「だから日本我々、我々へ僕は円空と木喰なんていう言葉を出したけれども、あるいはお釈迦様ということだけれども、キリストのルーピントイエリスみたいなものがアフリカにもあるかもしれないし、東洋の我々の中にもあるかもしれない。心の中にあるはず。それについて、メカスが静かに逝ったときに、そういうものを思い出す、そうした時空が浮かび上がってきている。ちょっと僕は深刻なことばかりしゃべりすぎてしまって、この天才のいい意見を聞かないと」
いとう「いやいや。僕はまだまだあの沈黙は一体どういうことがあそこにあるのかというのが今日も思いつかずにずーっと」
吉増「僕も最初は考えていたことはいっぱいあって、文藝春秋の巻頭随筆なんか書いているときに、あそこにメカスさんのベッドがなかった。ベッドルームがないんだ。ベッドがない。だから、西欧の生活やアメリカ生活なんかで中心になるベッドシーツ、そういうものがない。そこへ持っていって、それで眩暈を起こしたんじゃないかというものを書いたりもしました。何度も何度もそんなことを考えてるんです。この間、僕が最も大事にしていた弟をなくしたりして、人生の駒がその中に入ってくるんですよ。うんだからこれはドキュメンタリーというけれども、そうした人間と人間の付き合いの中で50年も付き合ったからそういうものが入ってきていますね」
いとう「なるほど。この間、吉増さんとの対談をこの映画の後にさせていただいたときに、この映画は吉増さんの問わず語りなんだと言いました。監督がいくら何を質問しても、それは全部切ってあって、吉増さんが一人でしゃべるかのようにしている。この問わず語りということにはどんな意味があるんだろうと家に帰って考えた時に、問わず語りにするということは、吉増さんがその言葉の責任をずっと取っていくということなんですね。たった一人で取っていく。質問されたから答えるということになると、その責任というものは半分、監督のものに見えてくる。けれども、そうしないように全ての言葉が自分の方に返ってくるように、どんどんどんどんと引き受けていく。それを引き受けていく吉増さんの言語の変化と心境の変化を我々は見ることができる、そういうことなんだろうなと」
吉増「そうですね。私この後、一緒に朗読の試みをしてみますけれども、本当に今、いとうせいこうさんの声を聞いている。その聞くということを70〜80年近く続けてきている。だからイェーツのI will arise and go now, and go to Innisfree, 皆さんの耳の中にも恐らく人の歌声や何かが入っているでしょうし、それがいっぱい入ってきている。だから無意識のうちに自分の中で自分も知らないような問わず語りをしているはずなのね。そういうものがここでおっしゃるとおり、明らかになってきているんです」
いとう「それを映画の側は言ってみたら監督はそれを迫っているというか、でも、吉増さんは絶対それを拒絶しないで受け入れて自分の言葉をそのたびごとに責任を持って出していく。その一つ一つの、一瞬一瞬スリリングなものを我々は見せてもらっている。なのでああいう沈黙の時に一番すごくそれが、どういう言葉がこの人から出てくるんだろうと思うときに、やっぱり待ちますよね。ずっと責任を取ってしゃべってきたわけだから」
吉増「あそこは撮影の現場でも、井上監督と山本プロデューサー、鈴木カメラマンもあの沈黙が生じたときに、ああ、この映画ができたなというおっしゃっていました」
いとう「そうなんですか。そういうものなんですね。言ってみたら、それまでの間にもう隙間なくいろいろな音を入れているのは皆さんもわかるように、電車がきしむ音だったり、川の音だ、何だかんだと、馬がヒヒーンというような、水の音もしつこいぐらいに入れて、それが僕が言っているルビというもののひとつで、つまりクリエーティブなルビというもので説明ではない音なんですね、あれね。あれで全然違う発想が浮かぶような音をわざと入れている。それで僕らを見てしまう。この映画をますます見てしまうわけなんだけれども、あの沈黙だけは一切手をつけないという」
吉増「僕は、いとうさんが出てくるテレビが僕は好きで、ものすごいファンなんだけれども、テレビの番組のつくり方とはやはり違うもんですか」
いとう「いや、もうそれは違いますね。いま、しゃべっている側が責任を取るという風にできていると言っているじゃないですか。テレビの場合は、誰も責任をとらないようにしゃべるようにしているように見えるし、責任を取るところまで行く前に切ってしまうというか、そういう風にしていると思いますね。そのことによって、言葉の責任みたいなものをすごく軽くして、見ている側も軽く見られるように作っていると思うけれども、これの場合はそういうわけにはいきませんよ。友の死に、あるいは友の生まれてから死まで辿りついたところの人生をどう受け取るかみたいなものを探っていかなければいけないのは吉増剛造なわけなので、その吉増さんを我々は見て、その後ろに隠れるようにしてついていって、それこそ洞窟の中に入るようにして見ていくわけで」
吉増「洞窟といえば僕もひやひやしたんだけど、世界中の映画関係者がそれを認めてくれたらしいということはわかって安心したんだけども、この映画の中でパウル・ツェランの声はテープで持っていったけれども、ある程度、僕にはその確信はあったんです。私は2つぐらいしか違わないんだね、自殺しちゃったパウル・ツェラン、そしてメカスさんをつなげるのを、これもこれまで誰もやったことのないもの。それがこの映画で成立したというのが、まあ、ちょっと背中に何か寒いものが走るくらいのことでした。そういうなんていうか勇気っていうか、あれがこの映画の中にはあるんです」
いとう「そうです、それ。問わず語りは勇気ということ。それは僕らは多分言葉にしなくても、まあ言葉にもできないんだけれども、見ているとわかるというか。そして考え続けている吉増さんという存在が、どういうふうに誠意をもって目の前に起こってくる出来事を自分のものとして解釈していくか。そのこと自体が常に主人公のやること、それが映画になっているということですよね、たぶんね」
吉増「あ、もう時間ないの? いとうさん、みなさん、どうもありがとうございました」
ENGLISH
Overview
The year 2022 marks the centennial of the birth of Jonas Mekas, the god of American avant-garde cinema.
Gozo Yoshimasu (born 2/22/1939), a pioneer of Japanese contemporary poetry, pursued the vision of his ally, the late Jonas Mekas (12/14/1922 - 1/23/2019), in Manhattan and Brooklyn. The time is the end of January 2020, just before the coronavirus strikes NYC, and the trip is just in time. The film depicts the dramatic birth of a poem that could be called a requiem on the first anniversary of the death of Mekas, who was considered a giant of experimental cinema.
“Why are your poems and films so shaky?” Someone asked this question to Jonas Mekas, the poet deemed the godfather of American avant-garde cinema. Mekas replied “My life is shaky.”
This film Memai Vertigo follows Gozo Yoshimasu (b. 1939), a pioneer of modern Japanese poetry, as he seeks memories of his friend Jonas Mekas (1922-2019) through Manhattan and Brooklyn one year after Mekas’ passing. The film depicts Gozo’s process as he works to craft a poetic requiem for his friend during his stay in America.
Yoshimasu Gozo emerged on the poetry scene in the 1960s as a flagbearer for a new form of verse with a wild linguistic sensibility and an explosive image. He continues to blaze new paths, producing poetry that heightens and fills the five senses. Jonas Mekas died on January 23rd of 2019 at the age of 96. He was born on a farm in Lithuania. In his youth, his homeland was taken over by the Nazis and then the Soviets, and Mekas fled to America. From the midst of despair, he worked to plant roots in his new soil and began to weave stories from his memories through the medium of film. He created many films that influenced the development of counterculture cinema, a contrast to Hollywood. Best known of his works are the so-called “diary films” that depict his daily life.
As Gozo travels to Kyoto, Tokyo, and New York, he laments the passing of his friend, and over time these fragmentary thoughts begin to take shape as poetry. The film depicts Brooklyn and Manhattan, where Mekas lived, in ways that bring to the senses the “shakiness” he described—that of the city and its people.
When Gozo meets Mekas’s son Sebastian, he undergoes a change. The meeting takes place just before vacating Jonas’s studio in Brooklyn. Sebastian explains how his father worked and lived in the studio without a bed, often sleeping on a mat on the floor or even in a chair. In the studio, Gozo is overtaken by a moment of vertigo. He lies down and is overtaken by a flood of images which he puts into words.
This film tells the story of how Gozo draws on his experiences to compose a requiem in verse to mark the one-year anniversary of the passing of his friend Jonas Mekas, in the process preserving something of Mekas’ spirit in a work of art. The works of Mekas and Gozo are introduced along with their treasured correspondence. This film marks the birth of a new style of documentary wherein images take form as poetry.
Enjoy this film about poets of East and West who became kindred spirits, moving together in the winds of life.
Film festival results
WORLD PREMIERE
ワールドプレミア*New Jersey International Film Festival
Available October 9, 2022
NEW YORK PREMIERE
ニューヨークプレミアBUFFALO INT'L FILM FESTIVAL
Available October 6-20, 2022
International film festivals (except one*) have re-edited and entered
a version without the poet Paul Celan's reading.
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Currently 52 awards and 39 others
Annual, seasonal, and monthly awards vary
年間、季節、月間の映画祭含むNEW 2023/11/3
World Cinema Antwerp 2022/Belgium
Best Cinematography in a Documentary
NEW 2023/05/18
8 & Halfilm Awards in Cannes/France
BEST DOCUMENTARY FEATURE
BEST ART HOUSE FILM
BEST EDITING
BEST PRODUCER
BEST EXPERIMENTAL FILM
前衛映画部門
グランプリ/最優秀作品賞Paradise Film Festival/Budapest, Hungary
New York Film Awards/NY, United States
BEST FILM ESSAY
グランプリ/最優秀作品賞CLIMAX Critics Awards/Spain
BEST DOCUMENTARY FILM
ドキュメンタリー映画部門
グランプリ/最優秀作品賞New York Cinematography AWARDS (NYCA)/NEW YORK, United States
Sofia Art Film Awards/Sofia, Bulgaria
Stanley Film Awards/London, United Kingdom
※Stanley Kubrick memorial8 & Halfilm Awards/Rome, Italy
※Federico Fellini memorialMilan Gold Awards/Milan, Italy
New York Neorealism Film Awards/Rome, Italy
Royal Wolf Film Awards/Los Angeles, United States
Pinnacle Film Awards/Hollywood, United States
Virgin Spring Cinefest/Kolkata, IndiaMindfield Film Festival • Albuquerque/Albuquerque, United States
Five Continents International Film Festival/Puerto la Cruz, Venezuela
Gangtok International Film Festival/Sikkim, India
Calcutta International Cult Film Festival/Kolkata, IndiaMannheim Arts and Film Festival/Mannheim, Germany
Sydney Australian Film Festival/Sydney, AustraliaExperimental Film Guanajuato/Guanajuato, Mexico
RED Movie Awards/Reims, FranceSnow Leopard Film Festival/Madrid, Spain
BEST DIRECTOR
最優秀監督賞INOUE Haruo
Stanley Film Awards/London, United Kingdom
※Stanley Kubrick memorial
8 & Halfilm Awards/Rome, Italy※Federico Fellini memorial
New York Neorealism Film Awards/Rome, Italy
Royal Wolf Film Awards/Los Angeles, United States
Pinnacle Film Awards/Hollywood, United States
Cult Critic Movie Awards/Kolkata, India
Five Continents International Film Festival/Puerto la Cruz, Venezuela
The Gladiator Film Festival/İstanbul, Turkey
RED Movie Awards/Reims, FranceBEST CINEMATOGRAPHER
最優秀撮影監督賞SUZUKI Masaya
Five Continents International Film Festival/Puerto la Cruz, Venezuela
Sofia Art Film Awards/Sofia, BulgariaRoyal Wolf Film Awards/Los Angeles, United States
Pinnacle Film Awards/Hollywood, United States
The Gladiator Film Festival/İstanbul, Turkey
Best Documentary Award/London, UKBEST SOUND DESIGN
最優秀音響効果賞KANNO Tomokazu, WATANABE Mie, MORI Eiji
Tagore International Film Festival/West Bengal, India
※Tagore memorialFive Continents International Film Festival/Puerto la Cruz, Venezuela
Sun of the East Awards 2022/West Bengal, India
BEST PRODUCER
最優秀プロデューサー賞YAMAMOTO Reiji
Tagore International Film Festival/West Bengal, India
※Tagore memorialRoyal Wolf Film Awards/Los Angeles, United States
HONORARY AWARDEE
名誉賞Jean-Luc Godard Awards 2022/Kolkata, India
Best Portrait
最優秀ポートレイト賞
16th "CinemaVérité" Iran International Documentary Film Festival/Tehran, Iran
The 4th Pigeon D’or Awards
第4回黄金の鳩賞
*Luis Bunuel Memorial Awards /India
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DOCUMENTARY FILM PRIZE
ドキュメンタリー部門優秀作品賞Special Prize, Honorable Mention
Luis Bunuel Memorial Awards/Kolkata, India
※Luis Bunuel Tagore memorialTagore International Film Festival/West Bengal, India
※Tagore memorialFestival internazionale Segni della notte/Roma, Italy
Wallachia Int'l Film Festival/Bucharest, Romania
Art Film Awards/Macedonia, the former Yugoslav Republic ofSan Francisco Frozen Film Festival (SFFFF)/San Francisco, United States
Mindfield Film Festival • Albuquerque/Albuquerque, United States
South Film and Arts Academy Festival/Rancagua, ChileCalcutta International Cult Film Festival/Kolkata, India
Black Swan International Film Festival/Kolkata, India
Druk International Film Festival/Paro, Bhutan
Anatolia International Film Festival/İstanbul, TurkeyBest Indie Film Award/London, UK
Iconic Images Film Festival/Vilnius, Lithuania
Best Film Awards/London, UKSymbiotic Film Festival/Kiev Ukraine
Istanbul Film Awards/Istanbul, TurkeyEast Europe International Film Festival/Warsaw, Poland
The International Moving Film Festival/Khouzestan, Iran
Zagreb International Film Festival/Zagreb, CroatiaDIRECTOR PRIZE
優秀監督賞INOUE Haruo
Special Prize, Honorable MentionEastern Europe Film Festival/Craiova, Romania
Sydney Australian Film Festival/Sydney Australia
Calcutta International Cult Film Festival/Kolkata, IndiaDruk International Film Festival/Paro, Bhutan
Snow Leopard Film Festival/Madrid, Spain
EXPERIMENTAL FILM PRIZE
前衛映画部門 優秀賞Special Prize, Honorable Mention
Paris Film Awards/Paris, France
Florence Film Awards/Florence, France
Black Swan International Film Festival/Kolkata, India
Ciudad del Este Independent Film Festival/Ciudad del Este, Paraguay
Black Swan International Film Festival/Kolkata, IndiaCult Critic Movie Awards/Kolkata, India
CINEMATOGRAPHER PRIZE
優秀撮影監督賞SUZUKI Masaya
Special Prize, Honorable MentionEastern Europe Film Festival/Warsaw, Poland
Mindfield Film Festival • Albuquerque/Albuquerque, United States
Sydney Australian Film Festival/Sydney, AustraliaNew Creators Film Awards/Paris, France
EDITING PRIZE
優秀編集賞INOUE Haruo
Special Prize, Honorable MentionSouth Film and Arts Academy Festival/Rancagua, Chile
Sydney Australian Film Festival/Sydney AustraliaDOCUMENTARY FILM FINALIST
Andrei Tarkovsky memorial Awards now in Competition
Brno Film Festival/Brno, Czech Republic
Boden International Film festival/Boden, SwedenBratislava International Film Awards/Bratislava, Slovakia
Ukrainian Dream Film Festival/Odesa, Ukraine
Buenos Aires International Film Festival/Buenos Aires, Argentina
Rome Prisma Film Awards/Rome, Italy
Polish International Film Festival/Warsaw, Poland
Wolves Independent International Film Festival/Saldutiškis, Lithuania
Seattle Film Festival/Seattle, United StatesWashington Film Awards/Washington, United States
Hudson International Film Festival New York/New York, United States
New Jersey Film Festival/New Jersey, United States
BUFFALO INT'L FILM FESTIVAL/Buffalo United StatesSymbiotic Film Festival/Kiev, Ukraine
Stockholm City Film Festival/Stockholm, Sweden
Specifications
- Project Type: Documentary, Experimental
- Runtime: 1 hour 57 minutes 30 seconds
- Completion Date: December 30, 2021
- Production Budget: 180,000 USD
- Country of Origin: Japan
- Country of Filming: Japan, United States
- Language: English, Japanese
- Shooting Format: Degital DCP Blu-ray 5.1ch
- Aspect Ratio: 16:9
- Film Color: Color
Director Statement
Jonas Mekas, a Lithuanian, moved from one Nazi concentration camp to another during World War II and immigrated to the U.S. after the war. he passed away on January 23, 2019 at the age of 96. He was considered a God of avant-garde cinema and befriended Andy Warhol, John Lennon, and contemporary poet Allen Ginsberg, among others. At the same time, he championed and nurtured young avant-garde artists and filmmakers. Gozo Yoshimasu, one of Japan's leading poets, followed the vision of his life in NYC. In this film, Gozo dedicates his memorial poem to Jonas. Gozo was a close friend of Jonas. I hope that through this film, people all over the world will learn more about Jonas Mekas.
Director Biography
Haruo Inoue
Born in 1963
inoue@hug-machine.com
Graduated from Doshisha University Faculty of Law
Film director, scriptwriter, producer, commercial director
https://www.imdb.com/name/nm2752212/Number of works
TV documentaries more than 400 (including short films)
TV dramas 24
Theatrical films (fiction) 12
Theatrical films (documentaries) 2
Commercial films (Shiseido, etc.) 80Recent Film Awards
Documentary film
2018 "The Reality Behind What We See"
https://www.maboroshi-web.com/42nd Festival des Films du Monde de Montréal
Competition
etc.10 Best documentry prizes at the International Film Festival.
大学生からの寄稿
2022年10月試写会
井潟瑞希/東京大学教養学部教養学科3年-2022年10月時
恥ずかしながらジョナス・メカスの作品を一度も観たことがなく、吉増剛造の大ファンというわけでもないのに、特設サイトを覗いた時、なぜかこの映画を観たいと思いました。説明書きから、ひとりの人間が旅に出て、ひとりの人間を追悼する映画らしい、ということが分かったからかもしれません。亡くなった人が食べて寝て起きて、の繰り返しを過ごした生活の場に足を踏み入れるとは、とてつもない旅ではないか、と思ったのです。懐かしんだり思い出を語ったり、という温かくて安全な旅にはとどまり得ず、遂にかたちにされなかった経験が永遠に失われたと分かること、その人がおくびにも出さなかった何かを発見した瞬間、もう後戻りはできないこと、そんな危うさが伴う旅になるのではないか、と想像しました。そのような危うさのなかで詩人である吉増氏は、メカスをどのように悼むのだろう。井上春生監督は、そんな危うい旅を、どのように一編の映像にまとめるのだろう。それが知りたくて、試写会に足を運びました。血が通い、一秒一秒呼吸を繰り返す自らの身体でもって、跡形もなく輪郭が消えてしまった身体を辿る吉増氏。メカスの愛したリールの回転音に、彼がしたようにそっと、耳を澄ませる。コニーアイランドの海風に、彼がしたようにそっと、身を流していく。スクリーンに映し出されるそうした姿をただただ受動的に眺めるなかでふっと、ある考えが形をとりました。最も原始的でそれでいて究極的な追悼のありかたは、模倣することだったのではないか。だとしたら、そんな模倣のなかでも、最も原始的で究極的なありかたが、眩暈することだったのではないか。廃墟のように荒廃したヨーロッパから難民として船に乗ったメカスが、初めて目にした摩天楼。地下鉄のホームで、覚えたばかりのステップを夢中になって踏んでいる二人の少女。それらに晒されたメカスの身体に、震えは積もりに積もっていった。震えの束を乗せて運んでいた身体はある日、音もなく消えた。それでも、かつてこの空間に確かにあった身体に、もう一つの身体を沿わせたとき、積もりに積もった震えを一身に模倣して、眩暈した。束になった震えをつい模倣してしまう、そんな幸運な身体を持ち合わせている人は、きっとそれほど多くない。そして吉増氏はその僅かな一人だった。あるいは、ただ一人だったのかもしれない。食べて寝て起きての繰り返しの生活に潜んでいる、一度きりの震えを捉える眼、そんな日記を書く眼に根差した表現者同士ゆえに、起きたことなのだろう。その眼が掴んだことを、なかったことにしたくないし、できない人たちが、どうしようもなく日記を書き続けている。なかったことにしてもいいし、なかったことにできる人たちは日記を書くのをいつの間にかやめてしまう。Oh, Mademoiselle Kinka!かつてメカスを震わせた摩天楼の隙間から覗く空を見上げた吉増氏が呟いた、その体の奥底にある金華山の微かな道を踏みしめていった先でゆっくりこちらを振り向いたひまわり色の女。そこで場面は切り替わり、あれは幻だったんじゃないか、いやでも確かにあそこであれを見たんだよなあ、そう首を傾げてしまうような断片がたくさん、一度観ただけではまだ分からないことだらけの映画です。でも劇場で観るかたは、一度だけそっと、眼を閉じてみてください。瞼の裏のちらつき、その光りの揺れは柔らかくて、それでいてもう安全ではいられない。メカスの眼の震えの一端を掴んでしまってもう後戻りはできない、一方通行の旅でした。
加藤ひなの/武蔵野美術大学 造形学部 芸術文化学科4年-2022年10月時
喧騒、そして静寂があった。NY、鳴り響く救急⾞のサイレン、ネオン、⾼層ビル。地下鉄の、轟⾳と、⾝を切るような、暗く深い洞窟に吸い込まれてしまうような、空虚感。無邪気な⼦供のように笑いかけながらも、辿々しく、されど確実に、孤独を抱えている彼のしゃべりかた。沈黙し、選択され、⼝から溢れる⾔葉。怯えたように、おどけたように踊る彼を愛おしいと思った。「きみがいなくて淋しい、会いたい。」と笑うメカス⽒がもうこの世界に存在していないこと。⽴ち尽くすことしかできない。私はメカス⽒に会ったことがないのに、ひどく寂しい。ひとつひとつ、丁寧に、読まれていく⾔葉。リールが回る、回想、記憶がめぐる。スクリーンに映し出される、16 ミリフィルムカメラの光が、触っても⽕傷をしないやさしい炎と灰のようだった。宝物のような記憶が、そのままフィルムに出⼒されているかのようで。記憶の断⽚として、フィルムとして、映画として、詩として、鈍くあたたかい光を放っていた。映画を観ていて、気がついたら、涙が出ていた。感動の涙なのか、私にはまだ⾔葉にできないが、⼼の根っこのような、どこかが震えているのだと思う。メカス⽒のような、繊細で鋭い視点を持つ⼈が存在していたこと、そしてその友⼈である吉増剛造⽒が、彼を悼み、慈しみをもって、想い続けていること。⾔語という壁の境界線を超えて、⼼の根っこの所にある、世界を⾒つめる視点、世の中の解像度が近しい⼈物がこの世界にいること。必要最低限の⾔葉で、限りなく⼼の底からの対話が成り⽴つ⼈と出会えるということ。それはもう、紛れもない奇跡のようなものだ。奇跡でなかったら、なんなのだろうか。感情が震えている余⽩の映像を、その瞬間を、意味のある沈黙を、作品として撮影して下さった井上春⽣監督がいらっしゃること。今、映画として、詩として、ドキュメンタリー作品として、この作品に出会えたことを誇りに思います。
井上国太郎/東京大学文学部宗教学宗教史学専修3年-2022年10月時
僕は、ずぶ濡れになったまま、立ちすくんでいる。はじめに聞こえてきたのは、心臓の音だった。旧式のタイプライター。それはメカスの心臓である。キーがやけに分厚い活版印刷の亜種が実用的に使われているところを、2000年生まれの僕は見たことがない。しかし、それは確かに生きていた。言葉を探り続ける詩人の一部として。その鼓動が、メカスの残した言葉と共に流れ出す。カタカタカタとタイプライターを打つ音は、通り雨が地面を打つ音にも聞こえてくる。もともと、雨は嫌いではない。僕は試写室の上等なソファに深々と腰掛け、じっと、降り注
ぐ言葉たちーー詩人の呟きに耳を澄ませた。一言残らず、すべて受け止めるつもりだった。しかし、それは並大抵のことではなかった。徐々に雨脚が強まる。詩人は膨大な量の言葉を残した。その言葉たちは、もう一人の詩人、吉増剛造の体の中にも流れ込み、吉増がこれまで読んできた言葉、交差した人たちとの経験と結びつき、新たな言葉となって溢れ出す。今度はレシートの裏側に点々と記された、小さな足跡となって。あの小さな足跡をそのまま声に出すと、吉増の訥々とした独白になるのだと思う。特定の誰かに向けられたわけではない声。それでいて、いや、やっぱりこの声は自分に向けられているのだと確信せずにはいられない声。雨が降れば、大抵の人間は傘をさす。身を守るために。この映画を観るのは、傘を捨てて言葉の雨に打たれるようなものだ。東京の下町を支える隅田川、京都の湖、あるいは吉増が石巻から眺めた太平洋、メカスの住んでいた紐育。僕を打ち付けるこの雨がどこからやってきたのか、それは分からない。水が時代や国境線を無視して地球上を循環するように、数多の詩人の肉体を通し、言葉はこだまする。そして今、たまたま、僕の目の前に大雨となって降り出した。もう、カタカタなんて生やさしい擬音語はふさわしくない。紐育の喧騒のように、地響きのように、ゴオゴオと降り注ぐ雨。聴覚をシャットダウンさせるような轟音。とっくに体はびしょ濡れになっていて、前を見ることもできない。重量を凝縮させた雨粒が、僕の肌を暴力的に鞭打つ。眩暈がする。心臓が、僕の体を内側から強く叩く。やっと、雨が上がったようだ。清々しいほど青い空を眺めながら、ふと考えた。あんなに優しくて、ためらいがちに話していた詩人たちの、どこにこんなエネルギーが眠っていたのだろう。居合わせたものを茫然とさせてしまう、峻烈な言葉の雨。あんな大雨の中にずっといたら、人が変わってしまうに違いない。恐ろしいことだ。それでいて、もう一度傘を捨てて飛び込もうとしている自分がいる。もっと、恐ろしいことだ。
メッセージ
松尾潔 音楽プロデューサー/作家 平井堅のブレイクの仕掛け人、CHEMISTRYの生みの親
ひとりの詩人が、先達にして盟友の一周忌にNYに赴き悼む。作りはシンプルだ。だが、この映画はたまらなく胸を打つ。なぜか。詩人とは吉増剛造であり、盟友とはジョナス・メカスだからである。
藤沢周 作家 「ブエノスアイレス午前零時」98年で第119回芥川賞受賞
誰もが見たことがあるのに、見たこともない世界を発見する詩人と映像作家は、まるで愛し合う者たちのようだ。その特権である眼差しと指先が、また世界を新しくする。
芝山幹郎 評論家/翻訳家 映画評論界の第一人者
吉増剛造は幻視家にして幻聴者だ。病んでいるのではない。妄想が人一倍激しいのでもない。人に見えない物質を見て、人に聞こえない声や音を聞き取る。そのアンテナが桁外れに鋭い。
森村泰昌 美術家 現代美術界のトップランナー
此岸と彼岸のはざまでなされる両者間の交信は、やがてゴーゾーさんを深刻な眩暈に巻き込んでいく。そうこうしているうちに私自身にも眩暈が感染する。
城戸朱理 詩人 現代詩のトップランナー/2022年英訳詩集が米ワシントン・ポスト紙の「今年の詩集ベスト5」に選出
吉増剛造は死者の声に耳を澄まし、詩を紡いでゆく。その恐るべき瞬間を、カール・テオドア・ドライヤーの『奇跡』のように『眩暈 VERTIGO』は映し出す。
羽生善治 棋士 単行本「盤上の海、詩の宇宙」で吉増剛造と対談
ジョナス・メカスと吉増剛造。時間と空間を超えて交差する瞬間に何が生まれるか想像がつかない創造を期待せざるをえない。今までに見たこともない色彩鮮やかなタペストリーが生まれるのではないか。
アルバート・ニグリン ニュージャージー国際映画祭審査委員長/ラトガース大学教授
メカスを知っている私としては、この映画は懐かしい記憶をくすぐり感動的なものだった。偉大な実験映画への巡礼だ。メカスはそうした挑戦的な前衛映画のゴッドファーザーでもあり、この映画はその魅力を詩的に解明し、かつそこに共に存在するという金字塔を打ち立て、時代に残る映像詩となった。敬意を込めて。
今福龍太 文化人類学者 サンパウロ大学など各国で客員教授を歴任 東京外国語大学名誉教授
メカスはたえず何かを懐かしんでいる。何かがいま叶えられないことを哀しんでいる。そこに何かがないこと、そこに会いたい人がいないこと、そこが居たい場所ではないこと。
古川日出男 作家 『LOVE』(2005)三島由紀夫賞『女たち三百人の裏切りの書』(2015)野間文芸新人賞/読売文学賞受賞
亀裂オリエンテッドな二人が、いっぽうの死を越えて何を交感・交流するのか? ただただ大切なドキュメンタリーが起ちあがろうとしている。
ミシェル・アーサー フェリーニ記念映画祭審査員・シナリオライター
私が最初の映画を撮るためにニューヨークに行ったとき、ブルックリンでジョナス・メカスが住んでいた場所を知りたいと思い散策をしました。それがデジャブとなって圧倒的に、しかも静かに眼前に広がったんです。
佐藤文香 俳人 2024年中原中也賞受賞、早稲田大学在学中に第2回芝不器男俳句新人賞対馬康子審査員奨励賞を受賞
詩人の「メカスさん」という呼びかけを聞き続けると、自分がメカスになったように感じた。おのずと、自分にも次の作品が描ける気がしてくる。文字にしたい。声にしたい。
井戸沼紀美 CINRA.NET編集部 上映イベント『肌蹴る光線 ーあたらしい映画ー』主催
メカスさんにお会いして痛いほど感じたのは、何もごまかしがきかないということ。ハリボテのような言葉はすぐに流され、奥底の、まだ形を持たないような感情だけが見透かされている感覚だ。真っ直ぐに目を見つめられ、涙がぼろぼろ溢れ出た事があった。その眼差し、声の震え方、手の皺。
佐々木美佳 映像作家・文筆家 映画『タゴール・ソングス』(2020)監督
メカスが残した息子のセバスチャンが生きた人間として我々の前にあらわれる時、二人の面影が交差する。ジョナス・メカスが蘇ったような不思議な錯覚を覚え、胸が熱くなる。
小口詩子 映像作家 武蔵野美術大学映像学科教授
井上監督の前作『幻を見る人』は驚異だった。時代を生きた故の表現者たちの魂、化石や樹木、水の命声と共鳴する詩人の身体を通し、奇跡の光景を幻視した。次は、レンズ越しの異境に故郷の幻を見続けたメカスさんと生者の交信に耳を澄ますの。
岡 英里奈 作家/編集者 『三田文学』編集者
〈私が死んだあと〉の声を浮かび上がらせる二人が、どう響き合うか。あたらしい世界の層がひらかれることを楽しみにしている。
パンフレット


映画「眩暈 VERTIGO」パンフレット増補版
¥ 1,500
定価1,500円は税込です
送料:レターパックライト 370円がかかります
OPP袋(透明ビニル)に梱包します
到着まで数日かかります
領収書は購入後に自動発行されたものだけになります
ご了承のうえ、ご購入下さい
寄稿者
「人と人影が交信する」
芝山幹郎/評論家
「沈黙の中に立ち現れるもの」
城戸朱理/詩人
「つくり手の私たちへ(寄稿 +俳句三句)」
佐藤文香/俳人
「リトアニアに帰ったメカス(リトアニア写真+エッセイ)」
津田直/写真家
「眩暈を愉しむ」
松尾潔/音楽プロデューサー・作家
「これは悲劇ではない」
森村泰昌/美術家
「眩暈に寄す(詞書+短歌五首)」
水原紫苑/歌人*
「(仮)未確認飛行編隊」
帷子耀./詩を追う者*
「失われた極小言語の薄霞のなかへ」
今福龍太/文化人類学者*
*印が新たに加わりました数量近日公開
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